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2015年11月18日 (水)

<メディア批評> 政府の番組介入問題に二の矢がつげない大手メディア

 20151118 上出 義樹

 

 BPO(放送倫理・番組向上委員会)が異例の政治介入批判

NHKや民放でつくる放送倫理・番組向上委員会(BPO)NHKの「クローズアップ現代」のやらせ問題に関する意見書で異例の指摘を行った政府や自民党の番組介入をめぐる大手メディアのその後の報道姿勢は、総務相の記者会見を見る限り案の定、腰が引けている。二の矢がつげないのである。

放送への行政指導を正当化する安倍首相や高市総務相に川端委員長が反論

BPO116日に発表した意見書には、安倍晋三首相や、電波行政を所管する高市早苗総務相らが、NHKへの行政指導(厳重注意)は「法規範」である放送法に基づく正当な行為などと反論。これに対し、BPOの川端和治(よしはる)委員長13日付朝日新聞朝刊のインタビューの中で「放送法はあくまで放送事業者が自らを律する倫理規範」と、憲法の「表現の自由」を前提に再反論し、放送に詳しい上智大学の音好宏教授も記事中で「(『報道は事実を曲げない』などの)放送番組基準は倫理規範だというのが(学界の)定説」と、コメントしている。

憲法21条の「表現の自由」と相容れない政府の番組介入

この川端委員長の記事が掲載された13日には高市総務相の定例会見が開かれた。当然、同委員長の再反論について記者から質問が出るだろうと思い、私は他の閣僚会見に参加したが、総務省のホームページで確認したところ、BPO関係の質問は全く出ていなかった。

そこで、17日に開かれた高市総務相の定例会見には私も参加し、川端委員長の再反論に対する見解や、憲法21条の「表現の自由」と政府の番組介入との相容れない関係などを質問した。高市総務相は、民主党政権も放送法が「法規範性を有する」と国会で答弁していることなどを挙げながら、あれこれ釈明していたが、番組への政治介入に批判的な朝日や毎日、東京新聞などを含め、他の記者からは関連質問が全くなかった。

言論の自由に関わる重要な問題を質問しない記者たち

 言論の自由に関わる重要な問題をメディアの当事者が、なぜこうも軽く扱ってしまうのか。放送番組への政治介入は記者たちがこぞって執拗に追及すべき問題である。総務相の会見に限らず、どの閣僚会見でも現役の記者たちは政治家の説明責任や国民の知る権利を棚に上げてしまい、直近の夕刊、朝刊に必要なこと以外はほとんど質問しない。これでは政治家や官僚になめられるはずである。

(かみで・よしき)北海道新聞社で東京支社政治経済部、シンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大大学院博士課程(新聞学専攻)在学中。

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