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2015年12月21日 (月)

軽減税率の適用で新聞不信が渦巻くネットメディア

                                       20151221 上出 義樹

安倍政権とマスコミの癒着の構図が露わに


  2017
4月の消費税率引き上げに伴い導入される軽減税率の適用対象に、宅配の新聞をもぐり込ませた与党税制改正大綱は、安倍晋三政権とマスコミの癒着の構図をだれの目にもわかるように浮かび上がらせた。いくら新聞協会のトップが「新聞は国民に知識、教養を広く伝える公共財」と力説しても説得力がない。その後ろめたさからか、新聞ばかりでなく、新聞と系列関係にあるテレビも、新聞代への軽減税率適用については、ほとんど踏み込んだ報道をしていない。一方、インターネットのニュースサイトやツイッターなどには案の定、「なぜ食料品のほかは、新聞だけなのか」「これで政府寄りの記事がますます増える」など、新聞不信が渦巻いている。国民不在の形で決着した問題だけに新聞や政府与党に向けるネットメディアの視線は厳しい。


「公益」と「私益」を混同する新聞に厳しい視線

いろいろなネットメディアが今回の新聞の軽減税率問題を指弾しているが、まず、1217日付「ダイヤモンド」電子版の森信茂樹・中央大法科大学院教授の論稿を紹介する。

 森信氏は「なぜ活字離れの防止が、この段階での軽減税率の導入に結びつくのか、党税調でも全くといってよいほど議論はなされていない。筆者をはじめ国民にはその理由がわからない」と切り出し、「欧州では皆新聞も軽減税率の対象となっているという。確かにそうだが、欧州では大部分の国の標準税率が20%以上となっている。このことに触れずに『欧州並み』を主張することは論理が通らない」と、断じる。

 さらに、「この決定は、読売新聞社の最高権力者(渡邉恒雄氏)の強い要請に応えたものと思われる。これで読売をはじめとする新聞社は、安倍政権に大きな借りをつくった」

「これまでもそうだったが、彼らは以前にも増して安倍政権の政策批判はできなくなるであろう。軽減税率の導入と『安倍政権への配慮』は、だれが考えてもバーターということが明白だからだ。さらに言えば、書籍・雑誌の軽減税率適用が『引き続き検討』となった。政権にとっては、格好の書籍・雑誌の記事内容のけん制が可能になる」と言及。「自らの新聞に軽減税率を適用するという決定に対して、ごり押しをしたマスコミ人は本当に恥ずかしくはないのであろうか。『公益』と『私益』を混同した一部新聞社の横暴は、確実に読者離れを引き起こすと思われる」と、だれもが感じている疑問を代弁する。


絶妙な?日刊ゲンダイと赤旗日曜版外し

一方、Line株式会社が運営する提言型ニュースサイト「BLOGOS」にも興味深い記事が載っている。木走正水(きばしり・まさみず)氏と長谷川豊氏の18日付の論稿である。

軽減税率の適用対象が、週2回以上発行される宅配の新聞と限定されたことに対し、木走氏が「これ絶妙の線引きですね、さすがこずるい大読売様だけある、見事です」と、突っ込みを入れる。つまり、読売新聞同様に聖教新聞はOKだが、駅売りで「反自民」の日刊ゲンダイや「しんぶん赤旗」の日曜版はアウトとなる。「電子版は最初から眼中にはなかった。あなたたち(新聞)は、ネット民大嫌いですもんね。「メディアに階級つけてどうすんだい?こんなもの不平等以外の何物でもありません」と、木走氏はあきれる。

これを受ける形で長谷川氏が「要は、共産党と日刊ゲンダイへの嫌がらせ」と解説する。

「今の新聞赤旗の全購読者数は124万部ほどです。そのうちの6分の1が毎日購読。 逆に6分の5…つまり、100万部以上が日曜版なんです。 自民党は、ここを叩いた。共産党の重要収入源である週一回発行の日曜版。これに軽減税率を適用させないことで、嫌がらせをしたわけです。ようやるわ、という感じ」。


ネットユーザーからもさまざまな新聞批判の声

さらに長谷川氏は、「安倍批判大好きな日刊ゲンダイも同じです。東スポさんや夕刊フジさんはネット収入がどんどん増加している。でも日刊ゲンダイさんはその分野でちょっと置いて行かれていて、売り上げの95%を駅売りとかコンビニの売り上げで賄ってるわけです」と付け加える。

一方、ネット上ではユーザーたちから「(新聞は)さすがに恥ずかしくて報じられない」 「ヤギは新聞を食べるから確かに食料品か」「低所得者層はとっくに新聞やめている」「結局、安倍政権とマスコミの癒着の成果が軽減税率ということか」などのヤジが飛び交う。


高市総務相は記者会見で新聞を援護射撃

もちろん、新聞への援護射撃もある。私が1218日に、放送や情報通信を所管する高市早苗総務相の閣議後会見で、マスコミの記者はだれも質問しない新聞の軽減税率適用について、いろいろ問題点を挙げ閣僚としての所見を質したところ、高市総務相からは「新聞に関しましては、宅配というところが1つのポイントなんじゃないかとは思っております。つまり、過疎地などにおきましても地域の隅々まで重要な情報をお届けするということで、1つの情報インフラとしての役割を考慮されたものなのだろうと思っています」と、

新聞関係者が泣いて喜びそうな理解ある言葉が返ってきた。


置き忘れた?「権力監視」の使命

与党税制改正大綱が決定した1216日と翌17日の在京各紙の報道を見る限り、新聞の軽減税率適用に批判的な識者コメントと言えば、消費増税に賛成する新聞が軽減税率の適用を求めるのは、国民の理解を得られないことを指摘した17日付朝日朝刊の津田大介氏の談話くらいである。「権力の監視役」の使命を置き忘れるような姿勢をこれほど露わにさせては、新聞不信、新聞離れがさらに加速しそうだ。


(かみで・よしき)北海道新聞社で東京支社政治経済部、シンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大大学院博士後期課程(新聞学専攻)在学中。

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