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2016年2月10日 (水)

高市総務相の「電波停止」恫喝発言は違憲の疑い

 2016210 上出 義樹


高市早苗総務相が
28日と9日の衆院予算委員会で、政治的に偏った放送を繰り返し、行政指導でも改善されないと判断した場合、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性があるなどと言及。放送局へのあからさまな「恫喝」発言が波紋を広げている。

 
放送法第4条の「政治的に公平」根拠に放送局を威圧

放送事業者に「政治的に公平であること」などを求めている放送法第4条を根拠にした発言で、高市氏は国会や記者会見などでこれまでもしばしば同条項を強調している。政府批判の報道にいちいちムキになって反論する安倍晋三首相の意を汲んだ形で、一部のメディアへのこうした安倍政権の威圧的な言動を後押しするように昨年11月には、TBSの「NEWS23」でメインキャスターを務める岸井成格(しげただ)氏を放送法第4条違反として「告発」する意見広告も読売と産経両紙に掲載されている。

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高市氏は9日の国会答弁や定例記者会見で、業務停止命令や電波法による電波停止命令を出すのは「法律に違反した放送をしたことが明らかで、同一の事業者が同様の事態を繰り返し、再発防止措置が十分でないなど、非常に極端な場合だ」「私が大臣をしている間に出すことはないと思う」などとも説明している。

 
NHKは全く報ぜず、産経は高市氏を弁護

当の放送局や新聞各紙がこの高市発言をどのように伝えるか注目していたが、NHKは全く報道せず、読売は事実にのみ報道。産経はなんと「自民党以上に民主党政権はマスコミに圧力をかけていた」(9日電子版)などと、高市氏を弁護する記事を掲載している。

一方、安倍政権から不興を買うことが多い当のTBSやテレビ朝日のほか、朝日、毎日両紙などは識者のコメントなどと併せ、それなりの扱いで批判的に報じている。

 
民主主義の根幹に関わる大問題にしては追及が甘いメディア

大臣の権限で放送を停波できるとの発言自体、放送による「表現の自由の確保」や「民主主義の発達」を規定した放送法第一条に違反しており、少なからぬメディア学者は「憲法違反の疑いが強い」と指摘している。高市発言は民主主義の根幹に関わる大問題だが、マスコミ各社の報道はまだまだ及び腰の感を否めない。何度か拙稿でも書いているが、そもそも、恣意的な判断になりかねない政府(総務大臣)が直接、放送の許認可権を持っているのは西側先進国では日本だけである。他国のように政府から独立した放送委員会を設置するための議論は立ち消えになったままだが、これについてもメディアの追及は弱い。

 

(かみで・よしき)北海道新聞社で東京支社政治経済部、シンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大大学院博士後期課程(新聞学専攻)在学中。

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