NHKまで空撮した「清原狂騒曲」の異常
2016年3月18日 上出 義樹
清原元選手を待ち構えた取材陣はなんと500人規模?
覚醒剤の所持、使用の罪で起訴された元プロ野球選手の清原和博被告が3月17日夕、保釈された。清原被告を乗せた車が出てきた警視庁の周辺は、待ち構えるカメラマンでぎっしり埋まり、デーリースポーツ紙によると、報道陣の数は約500人に達したという。確かに覚醒剤の所持、使用は犯罪だが、この騒ぎは一体何なのか。
安保法制反対で国会を囲んだ人波の空撮は政府に遠慮して抑制したNHK
驚いたのは、NHKまで上空からの撮影で清原被告の車を追いかけていたことである。NHKは、昨年、安全保障法案に反対する抗議の人波が国会を取り囲んだ際、安倍政権の顔色を窺うように極力、空撮を控えていたと、私は記憶している。どちらのニュースが大切なのか。受信料の使い方を間違えているのではないか。
もともと甘利氏の疑惑報道から目をそらすタイミングで清原元選手を逮捕
清原元選手の逮捕は2月2日。もともと、甘利明・前経済再生担当相の口利き疑惑報道をかき消す狙いから警視庁が逮捕に踏み切った、との情報が飛び交っていた。
フリージャーナリストの田中龍作氏は自らのブログ「田中龍作ジャーナル」で、「覚せい剤事件は逮捕の時期を権力の都合でどのようにでも調整できる」「連日の『清原報道』で『甘利疑惑』は霞むようになった。今や忘れられた感がある」と切り込む。全く同感である。
甘利氏の口利き疑惑徹底追及の本気度が問われるマスコミ各社
その田中氏は、「ヘリは最終的には6機を目視できた。在京地上波テレビ局の数だけ飛んでいたことになる」と補足する。マスコミ各社は「甘利疑惑」の方も徹底的に取材、検証してほしい。
(かみで・よしき)北海道新聞社で東京支社政治経済部、シンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大大学院博士後期課程(新聞学専攻)在学中。
« 3・11事故の究明と新基準にノーを突き付けた勇気ある司法判断 | トップページ | 強まる報道圧力-原子力規制委の奇妙な朝日「処分」 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 自省込め強制不妊手術の報道責任問う(2018.05.26)
- セクハラ問題に見る報道の自己規制(2018.05.01)
- 女性記者セクハラ問題 報道検証の肝はこれだ(2018.04.22)
- 女性記者セクハラ問題に見る報道の手心と他人事(2018.04.20)
- 報道への脅しや暴言にメディアは反撃を(2018.04.02)
この記事へのコメントは終了しました。
« 3・11事故の究明と新基準にノーを突き付けた勇気ある司法判断 | トップページ | 強まる報道圧力-原子力規制委の奇妙な朝日「処分」 »
コメント