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2016年3月 2日 (水)

高浜原発の緊急停止の放映をなぜ途中で止めたのか

                                  201632 上出 義樹


  報道陣に公開中にトラブルが発生

再稼働したばかりの関西電力の高浜原発4号機(福井県高浜町)で229日午後、発電と送電を始めた直後に変圧器周辺でトラブルが発生し、原子炉が緊急停止した。たまたま発送電の開始を報道陣に公開した最中の出来事だったため、テレビカメラが中央制御室の緊迫した様子を撮影できたのはよかったが、テレビ映像からは、慌てる関電社員に退室を促された報道陣があろうことか、大切な現場から取材の途中で引き上げたことが窺える。関電とケンカしてでも執拗に撮影や取材を続けるのがメディアの使命ではないのか。

 関電社員の指示のままに中央制御室を退室し取材や撮影を放棄

同日夜のテレビ朝日の「報道ステーション」では、発送電の操作を開始したとたん警報音が鳴り響き、技術スタッフがあわただしい動きを見せるなど、中央制御室の騒然とした様子を放映。その後、引率者らしい関電社員が「さあ、帰りましょう」と報道陣をせきたてるシーンが音声とともに映し出され、そこで映像が終わっている。ただ、同日午後9時からのNHKニュースは、報道陣の退室を促す問題の場面を流していない。

上出が翌31日、関電の広報担当者らに電話で確かめたところ、中央制御室の映像はなんとNHKがテレビ各社の代表で撮影したという。NHKは自らのニュース番組では最後の部分をなぜかカットしている。一方、関電は、直接取材できない地元の福井の記者ら報道陣向けに、同原発近くのプレスセンターのモニター画面に映像を流していたが、朝日新聞の1日付朝刊によると、異変が起きて間もなくこの中継映像も突然、遮断されている。

 

 政府や東電の発表を垂れ流した福島原発事故とも重なるマスコミの悪しき体質

しかし、こうした関電の「情報隠し」とも言える対応に、マスコミ各社が抗議した気配はない。高浜4号機は再稼働前の220日にも、放射性物質を含む水漏れが起きている。それに続いて今度は、わざわざ報道陣に公開して起きながらの大失態である。3月下旬に予定していた営業運転を一定期間、先延ばしする程度で済む問題なのか。

外部への放射能漏れがなかったとはいえ、こんなトラブル続きの原発の安全性や電力会社を信用できるわけがない。と同時に、その関電とケンカもできないマスコミの姿勢もまた、問われている。


 この
311日で東京電力福島第一原発事故から満5年を迎える。福島では新聞やテレビが記者の安全と法令を最優先させ原発30㌔圏内の取材を放棄。政府と東電の発表を垂れ流して内外の信用を失墜した。今回の高浜原発の緊急停止でも、「311」報道と重なるマスコミの悪しき体質を垣間見た思いである。

 

(かみで・よしき)北海道新聞社で東京支社政治経済部、シンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大大学院博士後期課程(新聞学専攻)在学中。

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