閣僚の靖国参拝は憲法違反 メディアは執拗に追及せよ
2016年8月17日 上出 義樹
憲法の政教分離原則に反する政治的な行為
今年も8月15日の終戦記念日に、高市早苗総務相や丸川珠代担当相ら複数の閣僚が靖国神社を参拝した。同神社がアジアなどでの侵略戦争遂行の精神的支柱だった反省に立って、日本国憲法第20条では政教分離の原則を定め、国及びその機関によるいかなる形での宗教活動も禁止している。いわゆるA級戦犯の合祀以来、天皇も参拝を控えている靖国神社に、閣僚が大臣の肩書きで参拝すること自体、憲法に抵触する政治的な行為であることは、憲法学者らが繰り返し指摘している。
参拝後の高市氏らへの取材では当たり障りのない質問が中心
しかし、現実には近年、国会議員でもある閣僚らの参拝は完全に既成事実化している。今回、高市総務相らに対するマスコミの囲み取材などでも、例年どおり、主に中国や韓国など海外からの反応が中心で、閣僚の靖国参拝自体が憲法違反であることを問うような言葉は聞かれず、問題の核心を外した当たりさわりのないやりとりで終わっている。
戦没者追悼式でも安倍首相はアジアへの戦争責任に2年連続触れず
一方、この日、政府主催の戦没者追悼式で天皇は、昨年に続き先の戦争に対する「深い反省」を表明し、アジアへの戦争責任に2年連続で触れなかった安倍晋三首相とは対照的な内容となった。過去の歴史に背を向ける安倍政権に対するマスコミの厳しい追及があらためて問われている。
(かみで・よしき)北海道新聞社でシンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ。
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