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2016年11月 2日 (水)

「解散」のウソは本当に許されるのか-元首相に聞く

                                        2016112 上出 義樹

 

永田町の不思議な約束事 

 解散風が一気に吹き始めたと思ったら、今はその風が少し弱まっている。それでも各党は、早ければ来年1月との憶測も飛び交う総選挙に備えて準備を急ぐ。永田町にこうしたざわめきが起きる背景には、解散については首相もウソをついてよいという不思議な約束事がある。しかし、政治家にとって言葉は命。首相ならなおさら、自分が言ったことに対する責任は重いはずである。永田町の約束事は何かおかしい。 

 

 「近いうちに解散」と言った後で葛藤した野田元首相

そこで、私も参加した1031日の野田佳彦・民進党幹事長の定例会見で、首相経験者でもある野田氏に「首相がウソをついてよい理由を、一般の国民がわかるように説明してほしい」とずばり質問した。「難しい(問題)ですねぇ」と、ため息をついて記者たちを笑わせた後、元首相からは次のような言葉が返ってきた。

「私も総理大臣になったときに大先輩たちから、解散と公定歩合はウソをついてもよいと、言われ続けた。そうはいっても、ウソをついてよいテーマが特定分野にだけあっていいとは思えなかった。だから、(2012年に)『近いうちに解散』と言った後は、葛藤した。今の安倍(晋三)総理がどう考えているかはわからないが、人それぞれだと思う」

 

国民不在でもたれ合う政治権力とマスメディア

「人それぞれ」と言いながら、少なくとも野田氏自身は、ウソをつくことに後ろめたさを感じていたようである。他の首相経験者には取材していないが、私が不思議に思うのは、「解散のウソ」を主流メディアも容認していることである。永田町も報道機関も、ある種の政治的な儀式ととらえているのかもしれないが、主権者の国民をおいてきぼりにした、政治権力とマスメディアのもたれ合いぶりを如実に示す事例と、私には映る。

 

(かみで・よしき)北海道新聞社でシンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ。

 

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