マスコミの無節操さが露わなトランプ狂騒曲
2017年11月6 日 上出 義樹
「権力の監視」より長女イバンカ氏やゴルフ外交のPR役に
ドナルド・トランプ米大統領の初来日を報じる日本のマスコミ、とくにテレビ各社のはしゃぎようは、いつものことながら権力への無節操さを露わにしている。安倍晋三首相に縁の深い経営者らが絡む森友・加計両学園の問題や、米国の大統領にあるまじきトランプ氏の数々の差別的な言動などはどこかへすっかり置き忘れ、トランプ氏の長女イバンカ補佐官のファッションや両首脳のゴルフのプレーぶり、晩さん会のメニューなど、5日までの報道は女性週刊誌さながらの内容。「権力の監視」はお休みなのか。
視聴率競争を強いられるテレビ各社からは「首相官邸の思う壺」の声も
日ごろは、安倍政権やトランプ氏に批判的なニュースもしばしば流す在京民放キー局の記者は「テレビは結局、視聴率が勝負。モデル出身のイバンカさんやメラニア夫人は絵になるので、他社と同じように追いかけざるを得ない。情けない話ですが、首相官邸の思う壺です」と、内情を打ち明ける。
トランプ・ファミリーの「政治の私物化」には批判のコメントなし
大統領より一足早く2日に来日し4日に帰国したイバンカ補佐官は、安倍首相をはじめ主要閣僚が総出で歓待するなど、異例のもてなしを受けた。しかし、私が知る限り、これを大きく報じたNHKや民放各局から、トランプ・ファミリーの「政治の私物化」などを揶揄するようなコメントはついに聞かれなかった。
いよいよ6日は日米首脳会談が開かれるが、「トランプ狂騒曲」の続きはご免蒙りたい。
(かみで・よしき)北海道新聞社で編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ。
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