「裁量労働制は過労死増やす」と遺族ら涙の訴え
2018年2月21日 上出義樹
夫や息子・娘らが長時間労働の犠牲に
夫や息子・娘らを長時間労働で亡くした「全国過労死を考える家族の会」の会員たちが20日、国会内で開かれた野党のヒアリングで証言。「裁量労働制は命を奪う。偽のデータで実態をごまかすなんて許されない。国はこれ以上、犠牲者を増やさないでほしい」と涙ながらに訴え、政府が今国会に提出する「働き方改革」法案に異議を唱えた。
野党6党のヒアリングで生々しく証言
安倍晋三首相や加藤勝信厚生労働相は、いくら残業しても「みなし労働時間」分の給料しか払われない裁量労働制に関する「不適切」な調査テータに基づいて国会で答弁し、先日、首相自ら答弁を撤回・謝罪。この問題を受けて、立憲民主や共産、希望の党など野党6党は「働き方改革虚偽データ疑惑野党合同ヒアリング」を立ち上げている。
無念の自殺にもNHKは「自己管理できない娘さんの責任」
「家族の会」の会員らは16日に続き証言。管理職だった夫が過労死した寺西笑子代表や、自ら命を絶ったNHK記者佐戸未和さんの母親恵美子さんらが「夫は管理職だったが、自ら裁量権はなく会社の命令で身を粉にして働いた」「娘は残業が月に200時間を超えることもあったが、NHKからは、裁量労働制のもとで自己管理できなかった娘の責任と、言われた」
などと、過酷な労働実態を訴えた。
過酷な実態を訴える肉声の報道が少ない
会員たちは「裁量労働制の拡大は過労死を増やすだけ。絶対に止めてほしい」と法案に強く反対しているが、こうした生々しい肉声をメディアが十分に報じているとは言えない。
(かみで・よしき)北海道新聞社で編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ。
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